【短編】甘い罠
「そしたらなんか、寂しくて。ピアノ弾いても、楽しくなくて。」



思い出したらなんだか涙が溢れてきた。


亮太君は“泣くなよぉ~”なんて困った顔しながら私の涙を拭ってくれた。


思ってたよりも亮太君の手は大きくて、あたたかかった。





「委員会の仕事が突然入ってさ。今週中に片付けなきゃいけなくて。」


「・・・そうだったんだ。」


「んで、ついさっき終わったからここ来た。」



いつの間にか溢れてた涙は止まっていて、亮太君の手は私の頭の上に移動してた。


ポンポンって、安心させるかのように撫でてくれてる。


嬉しくなって自然と笑顔になってた自分。



そしたら亮太君も一緒に笑顔になってた。
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