【短編】甘い罠
「これしか弾けないけどね。」


「俺はこの音を奏でる優希ちゃんに惚れたんだから。」


「・・・え?」




今まで告白はたくさんされたけど、理由は一度も聞いたことなかった。


だから突然語りだした彼にすこし驚いた。





「たまたま日直の仕事で放課後にここの廊下を通ってね。そのときにも優希ちゃんピアノ弾いてたんだ。

・・・それがすごくキレイな音だなって思ってさ。誰が弾いてるのか見てみたくて、すこーしだけ音楽室の扉を開けて覗いてみたんだ。


そのときすごくキレイだなって思って、一目惚れしたってわけ。」





素直にそう語る彼の瞳がなんだかすごくキレイで。




思わず飲み込まれそうになった。
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