【短編】甘い罠
―キーンコーンカーンコーン―
今日もまた彼が音楽室へ来るとわかっているのに、音楽室へ向かっている私の足。
でもコレが私の日課だもの。しかたないよ。ピアノが好きなんだから。
なんだか言い訳みたいなことを頭で考えながら上る階段。
そして音楽室の扉を開けたら、彼はもうそこに居た。
「今日は俺のが早かったね。」
「うん。珍しいね。」
そう言って私はピアノのイスに座る。
私が一息つくと、彼はまたいつものように口を開いた。
「・・・好きだよ。」
「うん。」
「付き合って?」
「・・・ごめん。」
「そっか。」