【短編】甘い罠
―次の日。
今日もまた私は音楽室へ行く。
扉を開いたら、今日は誰も居なかった。
一息ついて、ピアノのイスに座る。
たった一人でいつもの曲を弾き始めた。
しばらくして練習をする手を止めて気づいた。
今日はまだ亮太君が来ていないんだ。
いつもは5分くらいしたら来るのに。
・・・って、別に居ることの方がおかしいんだから、これが普通なんだよね。
静かな空間が好きな私にとって、この静かさが絶好の場所だったんだから。
それが元に戻ってきただけの話じゃない。