家 庭 教 師 。~2時間だけの恋心~
いやいやいやいや、

「死んじゃいますけど…」

「そうだ。命の危機を感じるだろ。それでいい。」

「うん、何が?」

死ねってことか。
会ってすぐの人間に私は死ねと言われてるのか?

冗談じゃない。

「まだ死にたくないし。」

「だから、50点以上取ればいい話じゃないか。つか、そもそもお前に拒否権ないんだわ。」

「いや、しらねぇし。」

「俺はお前の先生を何故か引き受けちゃったのー。だから、伸びなかったら俺が悪いみたいになるだろうが。」

なんか引き受けたことを今ものすごく後悔してるんじゃないか?この人。

「えー…」

「………ったく。…コンクールいつだ?」

「?絵の?」

「それ以外にお前の得意分野何かあるのか?」

ほんっと失礼極まりないよね。

「10月だけど。」

「期末は?」

「えーと、5月じゃね?」

「5ヶ月あったら絵描けるな。」

5ヶ月…。
「まぁ、なんとか。ってか何言ってんの?」

「お前言ったよな。さっき、俺を描きたいって。」

まだ覚えてやがったのかこいつ。

「描かせてやってもいい。」

………ん?

「まじで!?「たーだーし、50点以上な。」………」

思い切り釣られてるよな私。

けど描きたいよ。
先生の顔。

「………分かったよ~」

「はい決まり。」

私ってちょろいな〜。

なんてことを自分で思うほど虚しいことってないよね。
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