千代紙の小鳥
「ピ、ピ、ピピ、ピ、」
私が音を弾ませれば、小鳥の歌声も雨の足音の様に弾む。
「ピーリリリリ、ピーリリ、」
私が音を伸ばせば、小鳥の歌声も透き通る様に伸びる。
「チュン、チュン、チュン、チュン、」
私が音を少しずつ下げれば、小鳥の歌声も階段を下りる様に下がる。
その度に陽の光で輝く身体や翼は、透けることなくそこに居て。
(あなたは生きているの?)
そんな疑問が愚問に思える程、小鳥は目の前で現の景色をバックに踊っている。
私なんかよりよっぽど生きているその小鳥に、問いかける。
「今日はどんな街ですか?」
「この窓の外はどんな空ですか?」
「今日は誰とどんな話をしましたか?」
歌詞の無かった歌に質問を乗せて、また”会話”を楽しむ。
今日が調子のいい日で、よかった。