千代紙の小鳥
歌い終わって「ピピ、」と鳴いている小鳥に、
「ありがとう、ありがとう」
同じ言葉を重ねてお礼を言うと、小鳥は、先程とは形の違うわた雲が流れる空に向かって羽ばたいていった。
どれ程の時間の中で歌っていたかはわからないけれど、息切れもなく、睡魔が襲ってくることもなく。
(こんなに体調がいい日、いつ以来だろう)
「ただいまー。」
いつもは籠っていてどこか遠くから聞こえてくる母の声が。
今日はすぐそばで聞こえた気がした。
(明日もまた、来てくれるかな)
私はベッドから身体を下ろして、羽織を持って母のいる一階へと続く階段を下りた。