千代紙の小鳥

四つ折りにされたそれを開くと、たった一文。












『あなたの声は、美しい。』


たった一文、そう書かれていた。


「あなたは、これを届けに来てくれたの?

 あなたは、私の為に生まれてきたの?」



裏返して描かれた千代紙の柄を見ると、

白藍の背景に桜と桃の流れる川の上を、一羽の白い小鳥が大きく翼を広げて飛び向かうその先に、枝に足をかけて待っている一羽の小鳥。
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