千代紙の小鳥
「昨日ね、読んだ本の男の子がリュウジみたいな人がだったの」

「ふうん」

貴方は静かというかぶっきらぼうというか。

一つ一つに対する反応が私の半分もない位に薄くて。


初めて会った時は冷淡な人に思えて苦手だったんだけれど、何気なく過ぎていく時間や日々の中で本当は優しくて照れ屋なのだと気付いたのです。


「あ。そうだ。花」

「ん、なに?」

それから付き合い始め、出逢ってから2年は経過していたけれど、それでも偶に「何を思ってるんだろう。」と疑問に不安に思うこともありました。



「俺、今日も用事あるから」


そしてそれは、あの日も例外ではなく。


「そう。家の用事、とか?」

「野暮用」



また、野暮用?

言えなくて、後一歩が踏み込めなくて。


「そっか、わかった」


少しずつ降り積もっていく物寂しさと、不安から生まれた空虚感がせり上がってくる自分の心を、ただ浅ましく思うだけだったのです。
< 21 / 103 >

この作品をシェア

pagetop