千代紙の小鳥
ジリリリリリー、ジリリリリリー、
今の学校からは聞こえてくることのないチャイム音が、授業が終わり昼休みになった事を全校内へ知らせました。
「波田!」
母が作ってくれたお弁当を抱えて友達と学食へ向かおうとしていた私の名を、一学年担任の先生が教室全体に響く声で呼びました。
「はい」
「ご家族から電話だ。」
この時には携帯電話という便利な機械は恐らくまだ誰も思い付いてすらいなくて。
世ほどのことがない限り、学校に電話をよこすなどない時代でした。
「…はい」
なんだろう。何があったんだろう。と少し憂いながらお弁当箱を置いて教師の後をついて行くように職員室へと向かったのです。