千代紙の小鳥
ガラッ

少し乱暴に開けられたその扉は、先程までの喧騒とは別世界の様に静としていました。

「りゅ、リュウジ………」

「花、最近ずっと泣いてたり、何か言いかけたりしてたよな?」

「……うん」

「その事と今泣いてることは同じ理由?」

「………うん。ううん……もっと悲しい事」


数度言い交わした言葉は、一語一句聞き落とすことなくお互いの鼓膜を叩いていたでしょう。

「私ね、何も知らない人と婚約してたの。

 私の知らない内に。そして今、結婚が決まったって・・・電話が、あった、の……」

途切れ途切れに。何度も言おうとした事を、告げました。

少し間を空けて貴方から帰ってきた返事は。








「知ってた。おばさんから聞いてたから」


耳を疑う返答でした。
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