千代紙の小鳥


「・・え、?」

「最近、理由を言わないで一緒に帰ること断ってただろ?」

「あ、うん………野暮用って」


聞く度に疑問に不安に思っていたそれを思い返すのに、一縷の時間も要しませんでした。

朝にも言われたのだから当然です。


「花の親父さんの仕事場まで頼み込みに行ってたんだ」

「なに、を…?」

「婚約を解消してほしいって」

そう言った時の貴方の凄艶な顔に纏う哀傷が、こちらの心も痛む程に伝わってきました。


倦ねる。悩む。そんなものを遥か、遥かに超えたそれが。
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