千代紙の小鳥
「おばさんが『どうしようもないのだけれど、あなた達を引き離さなければならないのは本当につらいけれど…ごめんなさい』って」

「…お母さん」


そう。どうしようもなかったのです。

私の家は、親に決められた人との結婚しか認められない家だったから。

その事を教えられたのは、婚約したという話と同時にでしたが。



私がどう足掻いても、変えられない宿命。

「どうしようもないって分かってたけど、それでも少しの可能性でもあるなら。と思ったんだ」




貴方がどれ程想ってくれていても、変えられない定めだったのです。


「でも、やっぱり駄目だったんだな」


貴方の想いが滲み零れる顔が朧気になりながら、私はもう一度自分の家を恨み、厭世を感じました。
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