千代紙の小鳥
ジリリリリリー、ジリリリリリー、
次は昼休みが終わり、授業の始まりを知らせるチャイム音は、私たちしか居なかったその場所にも鳴り響きました。
「…行こう」
「もうちょっといる」
「……。分かった」
パタン──・・・
今度は優しく閉められた扉の音の向こうで、貴方の足音が遠ざかっていくのを聞きました。
「・・ふ、うっ…ふえ、」
貴方の足音が完全に聞こえなくなった後、私は泣くしかできませんでした。
野暮用と言われる度に不安がっていた自分、
一言半句な返事に不安がっていた自分、
第一印象とはいえ冷淡だと思った自分、
怖くて言うことから逃げていた自分、
少しでも貴方に対する哀しみを抱いていた自分。
其れまでの自分の弱さを悔いて、
貴方の哀傷の深さに心が熱くなり、
床に大きな水たまりが出来ても尚、泣き続けるしかできなかったのです。
泣き疲れて瞼を閉じてしまうまで。ずっと…