千代紙の小鳥
そのすぐ後意識を戻した現は真っ暗で。それが閉じられた瞼の為だと理解するよりも先にそれが開きました。


「・・・夢、?」

私がもたれ掛かっている壁に対面している窓から見える空は、藍色と橙色が混ざり合った色をしていて。

恐らく校内に生徒は誰も残っていないであろう時刻になっていることを示していました。

「……帰らなきゃ」

ふらっと体が揺れたことには気も止めずに誰もいない廊下に出て、教室へと向かいました。





「おかえり」


貴方が待ってくれているであろうと確信を持ちながら。




「ただいま」



また一輪、花が増えてしまいました。
< 34 / 103 >

この作品をシェア

pagetop