千代紙の小鳥
泣き疲れて眠ってしまう程泣いたのに、まだそれが溢れ出てきたのは、あの時が最後だったということなのでしょうか。
私はあの時を最後に涙を流していないのです。
「…っうえ…ふ、」
泣きながら運動場を歩いて校門へと向かう私の髪の毛を、幾つもの方向から吹く風が宙で漂うように靡かせていました。
そして、何処からか舞ってくる桜の花びら。
その舞い方は先程の夢にそっくりだったことやその花びらに私が気づくにはもう少し時間がかかってしまうのですが。
「どうしたんですか!?花さん!!」
泣いてろくに前を見ていなかった私の鼓膜を叩いたのは。
「あなたは──…」
「帰りが遅いので心配で迎えにきました。」
私の夫となる、その方でした。