千代紙の小鳥

◇◆◇・・・──── 
 


私とリュウジの距離が縮まっていく。


いくつもの方向から吹く風で、

落ちることなく踊り舞う桜の花びらで、


互いの姿が霞んでも真っ直ぐに──・・・


(遠かった、ずっと  遠かった、いつも)


いつも隣にいたはずの距離が。

ずっと想い合ってたはずの距離が。


いつも隣にいたリュウジとの距離を、

ずっと想い合ってたリュウジとの距離を、



零にするために互いに左腕を伸ばす。

その手を掴むために、温もりを掴むために。



リュウジの左手の上に、私の左手が滑るように入り込んで。


今、やっと──・・・
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