千代紙の小鳥
【人間は一産一児が普通とされている中で、一産多産であることは異常。】

そんな身も蓋もない偏見で疎まれたり忌み嫌われたりする人や生き物が存在する事はもちろん知っていて。

それでもその現象や存在を”稀”として接せられないのは”分からないから”だと思う。そうなる事が、そうである事が。

私は、”分からないもの”を受け入れられる程美しくなく、そのまま忌み嫌える程冷酷でもない。

「……………ど、したの?」

「「!!……お姉ちゃん、だあれ?」」

同じ顔、同じ声、同じタイミングの目の前で生きている初めて見る”双子”に、小さく息をのみながらも。

「雪平 雀って言うの。この病院に入院しているの。」

「ぼく 陽」「ぼく 月」

何故か名前を言う彼らの声は、震えていて。

「どうしたの?」

もう一度、問いかけてみると。

「「パパが………」」

「お父さんが……?」





「「ぼくたちのこと…嫌いだって……」」
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