千代紙の小鳥
「ピッピッピピピ、」

恐らく三枚三種の千代紙でつくられているその小鳥は、バルコニーの木製手すりに小さな足をあけて、一枚一枚違う羽根が集まった翼をパタパタと動かしている。


「…え?」


まるで心臓があって、自分の意志で動いているかのような。

翼を広げても15センチあるかないかくらいの小さな小鳥。


私は何度も瞬きをして何度もその小鳥を見た。

その視線に気づいているのか、いないのか、小鳥は飽きることなく翼を動かし続けている。


「あなた、生きてるの?」

目の前にある不思議に、常識を忘れて思わず言葉を投げかけた。

すると、広げられるだけいっぱいに広げていた翼を仕舞い、こちらを向いて「チュン、」と鳴いた。


「どこから来たの?」


今度は手すりの上でピョン、という擬音にぴったりなジャンプをしてまた「チュン、」と鳴いた。


「歌、気付いてくれたの?」


「ピ、チュン、」


まるで、「うん、そうだよ。」と言っている様だった。
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