千代紙の小鳥
これをそれと言っていいのなら、こんなに”会話”をしたのは数日ぶりだった。
「一緒に歌ってくれてたの?」
「ピピピ、」
桜や笹、鶴に毬、扇子に椿。
紺に赤、黄色や白、黒に緑。
光る模様や縁は、本物の金の様に輝いている。
その愛くるしい身体や翼を動かす仕草は、「歌って。」と可愛らしくせがんでいる様で。
いつもは誰とも、何にとも定めていない歌声を全てが小鳥に向かっていく様にと、想いを込めて歌う。