千代紙の小鳥
「マスター、さっきここから急に音が聞こえてきたんだけど。聞いたことないよな?そんな話」
それにお礼を言った後、マスターにあぐねいている理由を話すと。
「聞いた事ないねー。」
想像通りの答えが返ってきて。それでもはやり期待はしていた様で、無意識に肩が下がった。
「でも…」
だよな。と小さく返して珈琲を口に含んだ俺に、マスターはそう続けて。
「私が知らないだけで、何かと繋がっているのかもね。この机。」
なんとも掴み処のない一文を残してカウンターへと戻って行った。
(繋がってるって…何と・・・)
『あなたはだれ』
『そら。きみは』
ただ、きっと明日も聞こえてくる。根拠のない確信があった。