私の中にあと二人いる【番外編】
「………湊人さんです…」
私がそう言うと、遥ちゃんは固まり
すぐに、怖い顔に戻った
「湊人さん…
遥ちゃん、知ってますよね…?」
「う〜ん
誰か分からないな〜」
遥ちゃんは、さっきのへらへらと笑って
温泉のお湯で遊び始めた
「湊人さんから聞きました
遥ちゃんのこと…」
「嘘つくなよ、アキラ
アイツが僕のことを誰かに話すわけないだろ」
私がそう言った瞬間
遥ちゃんはお湯で遊んでいた手を止め
こちらを睨んで言ってきた
「………やはり、湊人さんを知っていたんですね…」
遥ちゃんは黙ったまま
ただ、私を睨んでいた
「……湊人さんの名前を出すだけで、そんな怖い顔をするなんて…
湊人さんと何かあったんですね…?」
前から疑問に思っていた
遥ちゃんは、族のことに詳しすぎる
特に、私たち鳳凰のことを…
遥ちゃんは鳳凰の誰かと関係があったんじゃないのかと調べたところ…
二、三年前のホテルの監視カメラに
遥ちゃんと湊人さんがホテルに入っていく映像があった
湊人さんは…
鳳凰初代総長の光輝さん
その副総長が湊人さんだった
湊人さんは、みんなに優しくて
いつもニコニコ笑っている人だった
湊人さんは蓮華さんと幼なじみで
すごく仲が良く、いつも光輝さんと蓮華さん湊人さんで遊びに出掛けたりしていた