雨、冷たくて
──「先輩」


その時、

ルイの声であたしを呼ぶ優しい響きが聞こえた。



「ルイッ?!」


一瞬の期待は、眠るルイによって打ち砕かれた。



「…、」


自ら命をたったくせに、

全く苦しそうな表情をしていないルイ。



「…手紙、読もうかな…」


もしも手紙があたしに対して責める内容ならば、


せめてルイの前で責められたい。



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