あかねいろ Thousand Leaves! 完全版
私は回れ右をした。

「帰る」

「何でだよ!」


肩をつかんだ優斗に私は言い放った。

「釣る前からエサだけ取ってこっちには何も食わせない気か!!!!!?」

優斗があっけに取られた顔をしている。

肩を掴まれたまま、私は歩き出した。


「怒鳴ってごめん。いいのいいの。

どうぞ女の幻想を追っかけて行ってください。

線路は続くよ、京成線。

終点成田空港から、世界の果てまで探してこい。

エサのいらないオンナですか。

いいっすね。

そんなオンナは、たぶん夜中に頭の後ろから、握り飯食ってるケドネッ」



「ごめん」

急に優斗がしおらしくなった。

「茜、ごめんね…」


もう本当に終わりだ。

ああ、さすがアタシ。


「いいのいいの。いい勉強になった。ありがとう。これ嫌味じゃないから。お幸せに」
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