青春memory
馬鹿みたい。
「玲ー。」

親友の明希がそう呟いた。

「いいからいいから。受験生なんだから、勉強しよ?」

私は明希の話を軽くスルーしながら、持っているペンに意識を集中させようとした。

明希は松前北中学校の3年生の玲に恋をしている。

私は未菜、松前南中の3年生になったばかり。

明希のように好きな人がいなければ、彼氏もいない。

彼氏をほしいと思ったことはあるけど、きっと私にはそういうの、まだ向いていないんだと思う。

明希はついさっき私のお母さんが運んできたサイダーに目を落とす。

明希は玲に恋してから、1週間前ちょうど1年が経った。

すごいと思った。

明希は松前西中だから私とは他中。

中2の冬のときに友達に紹介されたのが明希だった。

明希とはすぐに打ち解けて、今では他中なのに1番の親友だ。

「公園行かない?」

勉強会をしたいからと言って30分前に私の家に来た明希は、私の家に来てからまだシャーペンを手にしていないのにそんなことを言った。

「しょうがないなー。」

こういうところが甘いと自覚している。

けど明希の頼みはなぜか断れないんだ。


私たちは家から歩いて10分の公園に足を進めた。
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