この俺が幽霊に恋をした!?
俯いていると 誰かが小さく、くすりと笑った。
「いつまでそこにいるの?真琴」
その声の主は紛れもなく萌絵で。
俺は迷った。
出ていくべきか、それとも知らんぷりをするべきか。
「萌絵……」
迷った末、俺は深呼吸をしてから足を踏み出した。
「やだ、なんて顔してるのよ」
俺の顔をみて アンタらしくないわね、と微笑している彼女。
その表情に胸がズキンと痛んだ。
ずっと見たかった笑みのはずなのに、心から喜べない。
だって、これまでの心からの笑みとは違う、なんの感情も伴っていない笑みだったから。
「よくここって分かったね」
萌絵はそう言って空を仰いだ。
「――ここね、まだアンタと会う前によく来てたのよ。夜は星がすごく、きれいなの」