強引な彼との社内恋愛事情

「俺、千花さんのこと」


「待って広重。顔、近い」


「当たり前じゃないですか」


「 へっ?」


「俺。今、千花さんにキスしたいって思ってますから」


「キ……」


私が言い返す間もなく、広重の顔がぼやけて見えた。


変わりに唇に柔らかいなにかがくっついた。


すぐにキス、されてると理解した。


サワサワと風が頬にあたるのに唇の熱は冷えない。


「や、めて」と、広重の肩を押してようやく離れた。


「千花さんがわからず屋だからいけないんです」


「私が悪いって言うの?」

キッと睨んだはずなのに、広重は笑って頬をあげた。
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