強引な彼との社内恋愛事情
午前中の会議が終わると、調度よくお昼休みになった。
とんかつ屋のランチにしようと思ったら混んでいて、今日も結局、梶間食堂だ。
緑茶をすすりながらスマホを見た。
特に誰からもかかってくるわけでもない。
ガラガラと入り口のドアが開く。広重が立っていた。その後ろには金子さん。
まさか、週明けすぐにここに来るとは思わず油断していた。
気まずくて目を逸らしたのに、「あっ。千花さん」と声をかけてきた。
それでも気づかない振りをした。
「広重くん。あっち空いてるよ」
と金子さんの声にホッとする。広重も話しかけるのをやめた。
「日替わり定食です」
と店員が運んで来ると同時に顔を上げた。
だけど、見ないようにした。
「あそこ行きたいんだよね」とか「今度呑みに行こうよ」なんて金子さんのはしゃいだ声と同調するような広重の声がする。
そんな金子さんが私と同い年になんて思えなくて、豚肉の脂身を端に寄せた。