強引な彼との社内恋愛事情

「へっ?」


また口をポカンと開けてしまったのだと思う。


その一言に固まってしまった私を広重は抱きしめて、それからキスをした。

段々と激しさは増すのに、拒めなかった。

唇の隙間から割り込む舌。
最初は強引。
段々とその舌先が熱く感じて気持ち良くなる。
だからか、私も受け入れてしまう。
キスに身を委ねてしまうと、簡単に溶けてしまいそうだった。

優しくないキスなのに。



目を閉じても分かった。

花弁が舞い落ちているって。

顔に何度も触れるくすぐったさ。

広重の鼓動だって静かに伝わってくる。
< 58 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop