強引な彼との社内恋愛事情
そこには一斉送信されたようなメールと、一年以上も連絡をとっていない相手の名前のアドレスが表示されていた。
件名には結婚します。と書かれていて。
読み進めて途中でやめた。
私にも間違ってメールするなんてあり得ない。普通なら、私のアドレスなんか消すだろうって思った。
「千花さん、どうしたんですか?」
「えっ?」
「なんか急に暗くなったから」
「ううん……なんでもない」
ポンッとテーブルの上にスマホを置いた。
もう、忘れた恋だった。
それは、田原さんを好きになれたから。
だから、平気だというのに。
どうして、いつも。
私だけが実らない恋をして、哀しい気持ちにしかなれないのだろう。
取り残された気分になってしまうのだろう。
平気で人を傷つけた人にだって。
平気で人を裏切った人にだって。
幸せは継続されているのに。