強引な彼との社内恋愛事情
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月曜日の午後、パソコンにずっと向かっているせいか眠気が襲ってくる。
休み明けのせいかもしれないけど、少しだるいし。
ひと息つこうと、フロアを出た。一階の共有スペースには、小さなカフェテリアがある。
眠気覚ましにコーヒーでも飲もう。
ブラックにしよう。
背筋を伸ばしてエレベーターを降りた。
ふと、足を止めてしまったのは、広重の姿を見つけたからだ。
同じタイミングで、ここに来るなんて気まずい。
そう思ったのも束の間。その隣には見慣れない事務員みたいな制服を着た女性がいた。
うちの会社は所謂、オフィスカジュアル。制服なんてない。男は大体スーツだけれど。
ここのビルには他にも会社のテナントが入っているから、その内のどれかかもしれない。
社内の女に飽きたらず、他の会社の子にも手をつけ始めたのか。
本当に軽い男。
堂々と、その横を通った。
後ろめたい思いなんてひとつもないのだ。