強引な彼との社内恋愛事情
そこにキス
壁にもたれながら、四角い窓から雨雲を見ていた。
窓を打ち付ける雨の音。テレビをつける習慣のない私の部屋には、うるさいぐらいだ。
吸ってたタバコの火を消した。
残りは一本。
「禁煙しようかな」
もともとタバコなんて吸ってなかった。
軽い気持ちで吸い始めて、やめられなくなった。
タバコのことを考えていたはずなのに、広重のことを思い出してしまったのは、家の中に彼から借りた傘があるせいだ。
まさか、会社で渡すわけにも行かずに、返しそびれてしまっていた。
だけど、借りたままにはいかないかも。ビニール傘じゃないし。
今日、雨で困ってなきゃいいけど。
家の前まで行って、置いてこう。
タバコを買いに行くついでだ、と家に向かうことにした。
結局、禁煙も断念。