ノアの箱舟。
二説。タナトス
少年が足を踏み入れた大地。
かつての名残もなく ただ風に巻かれ砂煙が立つ。
人々はこの荒んだ大地を死の大地《タナトス》と呼ぶ。
好きでこの大地に足を踏み入れるものは無く
移住のために 仕方なくやむえなく 通るぐらいだ。
辺りを見渡せば 土と同化した生き物の骨がちらほらと目につく。
歩けば砂が舞い
空気は乾燥していて けして体に良いとは言えない
負が不を呼び 連鎖は今なお止まらない。
タナトスはそれをダイレクトに教えてくれる。
教えてくれても そこから何も学ぶことはなく。
いや なにを学ぶのかすら分からないまま、
人は人として大事なものを腐らせていく
少年はエウプラーギアーに振り返ると
送り人なんて居ないのに 1人手を振り
首に巻いていた布切れを顔に巻き
視界が悪い地を歩き進んだ。