ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
ワケありウェディング
明るい太陽に向かって真っ直ぐ聳える尖塔で、鐘が鳴っている。
秋晴れの空の下。
空気は透き通って凛としていて、厳かに響き渡る鐘の音を聞いていると、心が洗われるようだ、と思う。
こんな音色に包まれて、生涯の約束を誓い合ったりしたら、極上の幸せを手に入れたような気分になる。
そう、極上の幸せを。
背後から、突き刺さるような視線を感じる。
目を伏せてから、私は気付かれないように、後方に目線を流した。
煌びやかに着飾った女性の姿が多いのは、右手側の席。
洗練されたダークスーツが多いのは、左側の席。
そして、私は……。
「沢木萌(さわきめぐみ)サン」
私の目の前で聖書を手の平に載せた黒衣の神父さんが、私の名前を呼んだ。
鐘の音と痛い視線に気を取られて、この状況から完全に上の空になっていた。
私は今、この教会の中心で、純白のウェディングドレスに身を包んでいる。
ヒロインは私。
これは私の結婚式。
なのに、気を抜いたらボーッと出来るくらい、全く現実味がない。
呼ばれて顔を上げると、どうやら誓いの言葉の返事を求められたらしい。
誓いの言葉に間が空いて、隣からわずかに訝しそうな視線を感じた。
「Yes、I do」
慌てて、大きく息を吸って集中しようとする。
そして、リハーサル通りの一言を呟いた。
秋晴れの空の下。
空気は透き通って凛としていて、厳かに響き渡る鐘の音を聞いていると、心が洗われるようだ、と思う。
こんな音色に包まれて、生涯の約束を誓い合ったりしたら、極上の幸せを手に入れたような気分になる。
そう、極上の幸せを。
背後から、突き刺さるような視線を感じる。
目を伏せてから、私は気付かれないように、後方に目線を流した。
煌びやかに着飾った女性の姿が多いのは、右手側の席。
洗練されたダークスーツが多いのは、左側の席。
そして、私は……。
「沢木萌(さわきめぐみ)サン」
私の目の前で聖書を手の平に載せた黒衣の神父さんが、私の名前を呼んだ。
鐘の音と痛い視線に気を取られて、この状況から完全に上の空になっていた。
私は今、この教会の中心で、純白のウェディングドレスに身を包んでいる。
ヒロインは私。
これは私の結婚式。
なのに、気を抜いたらボーッと出来るくらい、全く現実味がない。
呼ばれて顔を上げると、どうやら誓いの言葉の返事を求められたらしい。
誓いの言葉に間が空いて、隣からわずかに訝しそうな視線を感じた。
「Yes、I do」
慌てて、大きく息を吸って集中しようとする。
そして、リハーサル通りの一言を呟いた。