ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
素直になれない
世間一般的に、新婚の今だから向けられる話題なのか。
その週末、私はまたしてもドキドキして口籠る羽目になった。


日曜日の昼間。
私は響さんと二人で、結婚して初めて響さんの実家を訪れていた。


明るい陽射しが射し込む清潔でおしゃれなダイニングキッチン。
テーブルの上には、昼から豪華なお義母様お手製の料理が並んでいる。


「あらあっ! 素敵なイヤリングね、ありがとう、萌ちゃん」


遅ればせながらハネムーンのお土産を手渡すと、すごく嬉しそうにはしゃいでくれた。
お義母様はとても明るく華やかな人。
いつ見ても思うけど、響さんは絶対にお義母様似だ。


「おや、それは萌ちゃんが選んだのかい?」


お義母様の隣から、お義父様が小箱を覗き込む。
はい、と頷くと、お義父様はどこか拗ねたような表情を浮かべた。
それを見て、私の隣で響さんが苦笑する。


「なんだよ。まだ俺が選んだ土産のこと根に持ってるのか」

「ふふ。あれはちゃんと大事に使ってるわよ、お父さんも。響、男のくせに拗ねないの」

「拗ねてるのは俺じゃなくて親父だろうが」


仲のいい家族のこのやり取りには、いつもほんわかした気分になる。


私は物心ついた頃からお父さんと二人だったから、こういう仲のいい家族に憧れる。
憧れて理想を描いて……私も響さんとこういう家庭を築けたらいいなって思う。
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