ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「お袋っ!?」


ゴホゴホと堰き込んで、響さんが目を丸くした。


「やだ、照れることないじゃない~っ。ちょっと計算合わないけど、今時そんなこと気にする人間いないでしょ」

「お、お義母様っ、ち、違うんですっ……」


お義母様のハイテンションに、響さんが飲まれてる。


こんな響さん、滅多に見られない。
だからこそ私がお義母様の暴走を止めなきゃ!って思ったけど。


「あら。私が響を産んだのも二十五歳の時よ? 何も早過ぎるってことないと思うけど」

「う……」


お義母様の勢いに、私まで巻き込まれた。


「響もせっかく若いお嫁さんもらったんだし。あんた一人っ子で散々文句言ったでしょ?
だったら自分の子には何人も兄弟作ってあげたらいいのよ。ね~? 萌ちゃん」

「いや、あのっ……」


止めなきゃいけないのに、何を言っていいかわからなくなった。


私も一人っ子だし、兄弟がいればいいなって思ってたのももちろんある。
だから、明るい笑い声の溢れる家庭を思い描いて……。
そうなればいいな、って考えたら、私はお義母様の迫力に完全に飲まれてしまっていて。


「止めろって」


ダンッとテーブルを拳で叩いた響さんに、ハッと我に返った。
< 112 / 224 >

この作品をシェア

pagetop