ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「私みたいに、なにもかもが中途半端になってる行員じゃなくて。あなたみたいに、家庭を持って働いてる女性こそ、取り上げられるべきじゃないの?」
「……そんな、私は……」
全然そんな立派な人間じゃない、と続けるのをなんとか止めた。
結婚しても働いてるだけで、何一つ立派にこなしてないし、もちろん両立してるなんて言えない。
それどころか……私が響さんの何なのか、それすらもわからないと言うのに。
「……結婚した『先輩』に向けて話したいんだけどね。……私もあなたと同じ二十五歳の時、真剣に結婚したいって男がいたのよ」
ココアのカップを手に持って、中谷さんがそう言って目を細めた。
その言葉に、胸が騒ぐ。
「……でも、別れちゃった」
「ど、どうして……」
聞き返すのはおかしい、と思っていても、私は自分の言葉を止められなかった。
だって、きっと……。
中谷さんが結婚を考えた人は、響さんだと思ったから。
「どうしてかなあ……。でも、今思えばタイミングだと思うわ。
結婚したいって思った時に、お互いの気持ちが噛み合わなかった。待てば良かったのに、私は待てなかった。
……で、この年になってみたら、待ってみても良かったのにな、って思ったりするのよ」
「……そんな、私は……」
全然そんな立派な人間じゃない、と続けるのをなんとか止めた。
結婚しても働いてるだけで、何一つ立派にこなしてないし、もちろん両立してるなんて言えない。
それどころか……私が響さんの何なのか、それすらもわからないと言うのに。
「……結婚した『先輩』に向けて話したいんだけどね。……私もあなたと同じ二十五歳の時、真剣に結婚したいって男がいたのよ」
ココアのカップを手に持って、中谷さんがそう言って目を細めた。
その言葉に、胸が騒ぐ。
「……でも、別れちゃった」
「ど、どうして……」
聞き返すのはおかしい、と思っていても、私は自分の言葉を止められなかった。
だって、きっと……。
中谷さんが結婚を考えた人は、響さんだと思ったから。
「どうしてかなあ……。でも、今思えばタイミングだと思うわ。
結婚したいって思った時に、お互いの気持ちが噛み合わなかった。待てば良かったのに、私は待てなかった。
……で、この年になってみたら、待ってみても良かったのにな、って思ったりするのよ」