ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
――……
私の向かい側に座った清水さんが、珍しく真剣に困った顔をしている。
「いや、萌ちゃん。それは、俺が話していいことじゃないと思うんだよね……」
そう言って、私から目を逸らしながら呟いた。
オフィスから少し歩いた、銀座のダイニングバー。
窓際の四人掛けのテーブル。その上にあるのはほんの軽い酒のつまみ。
週末の午後八時。
お店の客入りのピークはこれからってとこ。
「元はと言えば、清水さんが意地悪言うからいけないんじゃないですか」
頬を膨らませて腕組みまでして睨んで見せると、清水さんはハアッと息を吐いた。
「意地悪じゃないよ。何も知らないで当日ショック受けたりしたら可哀想だと思ったからさ」
「それにしたって、あんな言われ方されたら、気になって仕方ないんです!」
さっきから押し問答のような会話をエンドレス状態で繰り返している。
清水さんは苦り切った表情で、こめかみを指でポリッと掻いた。
「あんな、って……。ああ、『結構マジな』彼女だったってこと?」
「そ、そうです。おかげで私、どういう意味だろう、とか考えて。仕事中もぼんやりしちゃって……」
お酒も入ってるせいか、言ってるうちに感情が膨らんで行く。
「せっかく今まで順調だったのに、座談会失敗したら清水さんのせいなんですからねっ」
「……俺のせいか? あ~、はいはい」
そう言って手をヒラヒラさせる清水さんに、私は少しだけ背筋を伸ばした。
自分でも言っていて支離滅裂だと思う。
仕事に身が入らないのは、何も清水さんのせいじゃない。
響さんとの関係だってあるし、そして何より、中谷さんの言葉が頭から離れないせいだ。
私の向かい側に座った清水さんが、珍しく真剣に困った顔をしている。
「いや、萌ちゃん。それは、俺が話していいことじゃないと思うんだよね……」
そう言って、私から目を逸らしながら呟いた。
オフィスから少し歩いた、銀座のダイニングバー。
窓際の四人掛けのテーブル。その上にあるのはほんの軽い酒のつまみ。
週末の午後八時。
お店の客入りのピークはこれからってとこ。
「元はと言えば、清水さんが意地悪言うからいけないんじゃないですか」
頬を膨らませて腕組みまでして睨んで見せると、清水さんはハアッと息を吐いた。
「意地悪じゃないよ。何も知らないで当日ショック受けたりしたら可哀想だと思ったからさ」
「それにしたって、あんな言われ方されたら、気になって仕方ないんです!」
さっきから押し問答のような会話をエンドレス状態で繰り返している。
清水さんは苦り切った表情で、こめかみを指でポリッと掻いた。
「あんな、って……。ああ、『結構マジな』彼女だったってこと?」
「そ、そうです。おかげで私、どういう意味だろう、とか考えて。仕事中もぼんやりしちゃって……」
お酒も入ってるせいか、言ってるうちに感情が膨らんで行く。
「せっかく今まで順調だったのに、座談会失敗したら清水さんのせいなんですからねっ」
「……俺のせいか? あ~、はいはい」
そう言って手をヒラヒラさせる清水さんに、私は少しだけ背筋を伸ばした。
自分でも言っていて支離滅裂だと思う。
仕事に身が入らないのは、何も清水さんのせいじゃない。
響さんとの関係だってあるし、そして何より、中谷さんの言葉が頭から離れないせいだ。