ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
ユラユラ揺れている。
どうしようもなく重苦しい痛みを抱えて、私はフワフワと浮いている。


この鈍い痛みはどこから来るんだろう。
ぼんやりと力の入らない身体のどこかからなのか。それとも息苦しい胸からなのか。それとも……。


「……うわ、あったま痛……」


自分の唸る声でようやく意識が繋がった。
声に導かれるようにうっすらと目を開ける。


一瞬、焦点が合わない視界。
それでも目を凝らしてみると、それが見慣れた自分の部屋の低い天井だとわかった。


モゾッと身体を起こすと、自分の言葉通り、ジワジワ来る痛みの発信源が頭だってことを自覚した。


え~っと……。私、昨夜何してたっけ?


ベッドに身体を起こして額を押さえながら考える。


昨夜は私、清水さんと飲んでいて……。
話をしていたら、なんだか気持ちがいっぱいいっぱいになって、わけわかんなくなってきて……。


そして、ハッとする。


そうだ、帰って来た記憶がない。
ウダウダとクダを巻いて飲んで話して。
記憶はそこで途絶えているのに、私はどうやって帰って来たんだろう。


そっと見下ろすと、服は昨日の通勤着のままだった。
そのまま寝入ってしまったおかげで、悲しいくらい皺苦茶になっている。


それだけでどんよりした気分になりながら、私はなんとかベッドから降りた。
そして、半分惰性で部屋のドアを開けて、リビングに足を踏み出した。
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