ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
十分自覚していたつもりだけど、似合わな過ぎる。


ちっとも大人っぽくもなければ、個性もない、ベージュのAラインワンピースに薄い黄色のカーディガン。
歩くことを想定したローヒールのパンプス。


こんな普通過ぎる格好で、今の今まであの人の隣を歩いていたなんて、申し訳なさ過ぎる。


とてもじゃないけど、駆け寄って声を掛けるなんて出来ない……とへこんだ瞬間。
響さんの周りに三人のOLらしき女性が群がった。


声を掛けられたのか、響さんは一瞬彼女達に視線を向けて瞬いている。


矢継ぎ早に話し掛ける女性達。
さすがの響さんもちょっとたじろいでいるけど……。


これって、もしかしなくても逆ナンパ!?


そう焦った途端、彼女達が実力行使に出た。


あ、やだ。響さんの腕に腕を絡めてる。
キャアキャア騒いでいたそのうちの一人が、響さんの左手に目を止めた。
マリッジリングに気付いたらしい。
それを機に響さんが少し面倒臭そうに彼女達を交わそうとしてるけど、人数で勝った女性達はそんなの気にしない。


やだ、やだっ。そんな風にベタベタ触らないでっ!!


そんな気持ちが胸をついて、思わず一歩踏み出した。
そして私は理性に従ってピタッと止まる。
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