ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
篠沢課長が、大きくシートに背を凭れ掛けながら、見たこともないくらい渋い顔をしている。


「……沢木さんらしくないことしたねえ」


溜め息混じりに告げられる苦言に、私はただ身体を縮め込めた。


「まあ、おおかた座談会も終わったところだったって言うし。
話聞けなかった分はメールで補足するってことで、先方にも了承取ったって報告聞いたから、それでいいかと思うんだけど……」


それを聞いて、ただただ私は身体を小さくするしかない。


私がしでかしたとんでもない失敗のフォローは、錦戸さんとなずなちゃんが引き受けてくれていた。
それをオフィスに戻って来てから初めて聞いて、とても居たたまれない気分になる。


「……申し訳ありませんでした……」


散々泣いた後なのに、まだ涙が込み上げて来る。


ここで泣いちゃいけない。
これは私のミスなんだから。


そう自分に言い聞かせて、大きく息を吸ってなんとか涙を堪える。


「とりあえず、すぐこの後のフォローに入って。それから、明日までに反省文提出」

「……はい」


それだけでお説教を終えてくれた篠沢課長に、私は深く頭を下げた。


その後、迷惑をかけてしまった錦戸さんとなずなちゃんのところに回って、更に深々と頭を下げた。


情けない。
こんな私、情けない……。
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