ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
二人きりの誓い
午後七時を過ぎると、残業を切り上げて帰り自宅を進める行員の姿が目立つようになる。
お先に失礼します、と掛けられる声に条件反射で返事をし続けて、私もようやく反省文を書き終えた。
一度プリントアウトして、誤字脱字がないか、そしてレイアウトをチェックする。
よし、と呟いてクリアファイルに挟むと、そのままデスクにしまった。
提出期限は明日だ。
ふうっと息をついて辺りを見回すと、同じ島の同僚は誰も残っていなかった。
篠沢課長も今日は大事な接待だとかで、割と早々にオフィスを後にしている。
「……」
もう残っていてもやることはない。
さあ帰ろう、と思うのに、私はどうしても躊躇してしまう。
どんな顔して帰ればいいのか。
昼間あんなに響さんに迷惑を掛けて、ただでさえ合わせる顔がない。
その上、自分の気持ちをはっきり自覚してしまった今、どうしたって普通の顔なんか出来ない。
まさか、旦那様に片想いするなんて。
結婚して関係が始まった瞬間にジ・エンドを迎えたってわかっているのに。
ノロノロと惰性でパソコンをシャットアウトする。
ミスプリや社内メモをシュレッダーに掛ける。
どんなにゆっくり動いても、帰り支度は進んでしまう。
ああ、でも……。
響さん、中谷さんと会ってるかもしれない。
ゆっくり話したいって言われてたし、座談会の後はそれどころじゃなかっただろう。
それならきっと、今夜がグッドタイミングだ。
お先に失礼します、と掛けられる声に条件反射で返事をし続けて、私もようやく反省文を書き終えた。
一度プリントアウトして、誤字脱字がないか、そしてレイアウトをチェックする。
よし、と呟いてクリアファイルに挟むと、そのままデスクにしまった。
提出期限は明日だ。
ふうっと息をついて辺りを見回すと、同じ島の同僚は誰も残っていなかった。
篠沢課長も今日は大事な接待だとかで、割と早々にオフィスを後にしている。
「……」
もう残っていてもやることはない。
さあ帰ろう、と思うのに、私はどうしても躊躇してしまう。
どんな顔して帰ればいいのか。
昼間あんなに響さんに迷惑を掛けて、ただでさえ合わせる顔がない。
その上、自分の気持ちをはっきり自覚してしまった今、どうしたって普通の顔なんか出来ない。
まさか、旦那様に片想いするなんて。
結婚して関係が始まった瞬間にジ・エンドを迎えたってわかっているのに。
ノロノロと惰性でパソコンをシャットアウトする。
ミスプリや社内メモをシュレッダーに掛ける。
どんなにゆっくり動いても、帰り支度は進んでしまう。
ああ、でも……。
響さん、中谷さんと会ってるかもしれない。
ゆっくり話したいって言われてたし、座談会の後はそれどころじゃなかっただろう。
それならきっと、今夜がグッドタイミングだ。