ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「……ハネムーンではラグジュアリーツインルームで、新居でも寝室は別とか。
それって、恋人同士の旅行、同棲以下のレベルだよね」
遠慮がちに消えて行く美砂子の声に、私の方が居たたまれなくなる。
夫婦どころか同棲以下……というか。
戸籍上夫婦ってだけで、単なる同居、ルームシェアって感覚の方が近いかもしれない。
そう考えて、ハタッと思い当たった。
ああ、それでか、と合点する。
「倉西さんが求めたのは、『妻』の役割の一部ってことか……」
きっとそうだ。
たとえて言うなら、その機能を全うしてお互いの存在が空気と化した熟年夫婦。
長年連れ添ったから一緒に住んでいるだけで、恋だ愛だって感情は枯渇してしまった、そんな感じ。
でも、私と響さんは恋人同士の期間もなかった。
籍は入っていても、ほとんど他人でしかない。
だから干渉を嫌うし、構うな、って拒む。
それだ、と妙に納得して呟く私を、美砂子は怪訝そうに見ていた。
それに気付いて、ハハと軽く笑ってみせた。
「私と倉西さんの間には、気持ちがあったらいけないのかもしれない」
ぼんやりとテーブルに両肘をついて、組み合わせた指の上に顎を載せた。
美砂子は眉間に皺を寄せて、私の言葉に首を傾げた。
「倉西さんは私を恋人にしてくれた訳じゃない。愛して愛される必要はないってこと」
冷静に分析した結果を呟く私に、美砂子は目を丸くした。
それって、恋人同士の旅行、同棲以下のレベルだよね」
遠慮がちに消えて行く美砂子の声に、私の方が居たたまれなくなる。
夫婦どころか同棲以下……というか。
戸籍上夫婦ってだけで、単なる同居、ルームシェアって感覚の方が近いかもしれない。
そう考えて、ハタッと思い当たった。
ああ、それでか、と合点する。
「倉西さんが求めたのは、『妻』の役割の一部ってことか……」
きっとそうだ。
たとえて言うなら、その機能を全うしてお互いの存在が空気と化した熟年夫婦。
長年連れ添ったから一緒に住んでいるだけで、恋だ愛だって感情は枯渇してしまった、そんな感じ。
でも、私と響さんは恋人同士の期間もなかった。
籍は入っていても、ほとんど他人でしかない。
だから干渉を嫌うし、構うな、って拒む。
それだ、と妙に納得して呟く私を、美砂子は怪訝そうに見ていた。
それに気付いて、ハハと軽く笑ってみせた。
「私と倉西さんの間には、気持ちがあったらいけないのかもしれない」
ぼんやりとテーブルに両肘をついて、組み合わせた指の上に顎を載せた。
美砂子は眉間に皺を寄せて、私の言葉に首を傾げた。
「倉西さんは私を恋人にしてくれた訳じゃない。愛して愛される必要はないってこと」
冷静に分析した結果を呟く私に、美砂子は目を丸くした。