ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
響さんの膝の上に仰向けでごろんと転がっていた。
背中に回った響さんの腕が、私の上体を軽く起こして支えてくれている。
驚きで目を見開く私を、響さんは静かに見下ろしていた。


「萌」


真上から降ってくる低い声。


初めてこんな姿勢から響さんを見上げて、私はドキドキしながら反射的に顔を背けた。
響さんはそんな私に、静かに落ち着いた声で告げる。


「目、逸らすな。言いたいことはちゃんと言え」


その声に導かれるように、思い切って響さんを真っ直ぐ見つめる。


鋭いのに温かい、ちょっと揺れる瞳が、私の反応の全てを捉えていた。


「……俺は、萌の気持ちが知りたい」


ドクン、と大きく鼓動が高鳴った。


私だって伝えたい。
そうするつもりで帰って来た。


私の全部、響さんに曝け出してしまいたくて。


「好き……」


たった一言。
精一杯の想いを込めて、そう呟いた。


掠れる声を必死に繋いで、私は響さんの胸にしがみついた。


「響さんが好きです。響さんが私だけにくれた誓いのキス、すごく嬉しかった。
あんなに幸せな誓い、きっと、他の誰も経験出来ない。……私の一生で一番大事な思い出です」


溢れる想いは隠しようもない。
拙くてもいい。
私が今感じる全ての想いを、響さんに向けて出し切った。


ん、と。
響さんは小さく頷いた。
そして、私の頭に手を回して、そっと抱き寄せてくれる。
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