ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
額を響さんの肩に預ける。
確かな温もりが伝わってきて、その温かさに涙が零れた。


それを感じ取っているのか、響さんは背中に回した手で私の肩をポンポンと叩いた。


「……一生の思い出はいいけど……。ごめん、萌。俺はあのくらいじゃ足りない」


私の髪を指で弄びながら、響さんがボソッとそう言った。
聞き返すより先に、響さんが私の顔を覗き込んでくる。


「……っつーか、俺ちゃんと萌に警告しといたよな。だったら……」


なんだか早口に、迷いを吹っ切るような声でそう言って、今度は強引に私を抱き寄せた。


「もっとちゃんと、お前に触れたい」


そんな呟きと同時に、掻き抱くように頭を抱えて……。
響さんは、覆い被さるように私の唇を奪った。


「……んっ……!」


穏やかで優しい、さっきのキスとは違う。
荒波に飲み込まれるような感覚に、私は大きく目を見開いて身体を強張らせた。


でも、それはほんの一瞬で……。


強く求められる感覚。
同じ想いを返したくて、私は必死にキスに応えた。
何度も何度も触れ合わせて絡ませるうちに、身体の芯が疼いて、肌が火照って熱くなるのを感じる。


長いキスを終えて、響さんがゆっくり唇を離した。
離れて行く響さんの濡れた唇を、私は半分放心状態で見つめる。


響さんはそんな私にちょっとはにかむような笑みを向けて、ソファから立ち上がった。
そして、惚けている私の腕をグッと引いた。
< 194 / 224 >

この作品をシェア

pagetop