ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
大学教授だった父が亡くなったのは、私が大学を卒業した春のこと。
母は小学生の時既に他界していて、社会人一年目で私は一人ぼっちになった。


私も何度か会ったことのある父の学友で弁護士のおじ様が、財産とか相続とか、よくわからないことを全部手助けしてくれた。
一人では広過ぎる家は売却して、私は生まれて初めての一人暮らしを始めた。
保証人になってくれたのもおじ様だ。


『萌ちゃんは娘みたいなものだから、困ったことがあったらいつでも相談しなさい』とまで言ってくれた。


おじ様にとっては親友の娘。
私にとっても気心知れたおじ様。
それでも他人でしかない私をとても気遣って心配してくれた。


不安はあったけど、私も社会人として働く大人だし。
一人で大丈夫。甘えちゃいけない、と頑張っていた。


一ヵ月に一回のペースで夕食を御馳走になりながら、一人暮らしや仕事のことを報告がてら話題にする。
多少の失敗談もあったけど、いつも元気に話して来れた。
足ながおじさん……みたいな感じだった。
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