ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
『いや、黙ってて申し訳なかった。
萌ちゃんが響と同じ銀行に勤めてることは知っていたんだが……なんせこのバカ息子の噂は萌ちゃんも知ってるだろうし。
私に頼ってもらえなくなるかもしれないと思ったら怖くてねえ……』
その後出張から戻って来たおじ様が、夕食に誘ってくれた。
その席で初めて響さんも同席した。
抱き付いてしまったこともあって、私は終始響さんの顔を見れなかったけど、響さんは涼しい顔で優雅にナイフとフォークを動かしていた。
知ってるも何も……。
もちろん噂は耳に入っていたし、その上、広報部の社内報の企画で私が初めてインタビューを担当したのがまさに響さんだった。
ほんの一ヵ月くらい前のことだったけど、響さんの方は私に気付いた様子もなく、ただ、淡々とマイペースに食事を進めていた。
あの時私はなんて言ったっけ。
確か、響さんのことを、素敵な先輩だっておじ様に誉めてみせたんじゃなかったかな、と思う。
ほんの少しの接点で、私が響さんから感じたことだけを思い浮かべて。
おじ様は一瞬目を丸くして、そしてとても喜んだ。
そうかそうか、と朗らかな声を上げてグラスのワインをグッと飲み干してから、妙に改まった声で私の名前を呼んだ。
『萌ちゃんの響に対する印象が悪くないなら……。本当に私の娘にならないか?』
萌ちゃんが響と同じ銀行に勤めてることは知っていたんだが……なんせこのバカ息子の噂は萌ちゃんも知ってるだろうし。
私に頼ってもらえなくなるかもしれないと思ったら怖くてねえ……』
その後出張から戻って来たおじ様が、夕食に誘ってくれた。
その席で初めて響さんも同席した。
抱き付いてしまったこともあって、私は終始響さんの顔を見れなかったけど、響さんは涼しい顔で優雅にナイフとフォークを動かしていた。
知ってるも何も……。
もちろん噂は耳に入っていたし、その上、広報部の社内報の企画で私が初めてインタビューを担当したのがまさに響さんだった。
ほんの一ヵ月くらい前のことだったけど、響さんの方は私に気付いた様子もなく、ただ、淡々とマイペースに食事を進めていた。
あの時私はなんて言ったっけ。
確か、響さんのことを、素敵な先輩だっておじ様に誉めてみせたんじゃなかったかな、と思う。
ほんの少しの接点で、私が響さんから感じたことだけを思い浮かべて。
おじ様は一瞬目を丸くして、そしてとても喜んだ。
そうかそうか、と朗らかな声を上げてグラスのワインをグッと飲み干してから、妙に改まった声で私の名前を呼んだ。
『萌ちゃんの響に対する印象が悪くないなら……。本当に私の娘にならないか?』