ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
本店ビルから飛び出して、信号が変わるのをやきもきしながら待った。
車の信号が赤になるのを確認した途端、フライング気味にスタートダッシュ。
オフィス街らしい片側三車線の広い道路を、スーツの群れを掻き分けて走る。走る。走る。
ビルの向かい側、直線距離ではそう遠くもない別のビルのレストランフロアに辿り着いた時。
秋めいた清々しい気候だというのに、私はじんわりと汗ばんでいた。
オフィス街のランチタイムは超ピーク。
どこのお店も席が空くのを待つOLやサラリーマンが店の外まで並んでいる。
そんな中、私はここでも人の群れを掻き分けて、ステーキが絶品の超有名店のドアを開けた。
対応してくれた店員さんに予約があると伝えて、席まで案内してもらった。
天上テラスに面した陽当たりのいい明るい席。
ちょっと広めの四人掛けのテーブルには、三人分のグラスとカトラリーがセッティングしてある。
その席で、こっちに身体の正面を向けて、なんとも雰囲気のあるロマンスグレーの紳士が分厚い書類を捲っていた。
「おじ様、すみません。遅くなりました」
小走りに近寄って声を掛けると、書類から顔を上げて、その紳士が優しくニッコリと微笑んでくれる。
「やあ、萌ちゃん。大丈夫。私も仕事をしていたから。
……それより、私はまだ萌ちゃんの『おじ様』なのかな?」
ちょっと意地悪に綻ぶ笑顔。
そんな表情は、怖いくらい響さんに良く似てる。
車の信号が赤になるのを確認した途端、フライング気味にスタートダッシュ。
オフィス街らしい片側三車線の広い道路を、スーツの群れを掻き分けて走る。走る。走る。
ビルの向かい側、直線距離ではそう遠くもない別のビルのレストランフロアに辿り着いた時。
秋めいた清々しい気候だというのに、私はじんわりと汗ばんでいた。
オフィス街のランチタイムは超ピーク。
どこのお店も席が空くのを待つOLやサラリーマンが店の外まで並んでいる。
そんな中、私はここでも人の群れを掻き分けて、ステーキが絶品の超有名店のドアを開けた。
対応してくれた店員さんに予約があると伝えて、席まで案内してもらった。
天上テラスに面した陽当たりのいい明るい席。
ちょっと広めの四人掛けのテーブルには、三人分のグラスとカトラリーがセッティングしてある。
その席で、こっちに身体の正面を向けて、なんとも雰囲気のあるロマンスグレーの紳士が分厚い書類を捲っていた。
「おじ様、すみません。遅くなりました」
小走りに近寄って声を掛けると、書類から顔を上げて、その紳士が優しくニッコリと微笑んでくれる。
「やあ、萌ちゃん。大丈夫。私も仕事をしていたから。
……それより、私はまだ萌ちゃんの『おじ様』なのかな?」
ちょっと意地悪に綻ぶ笑顔。
そんな表情は、怖いくらい響さんに良く似てる。