ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
反射的に出した両手の上に、ドサッと書類の束が落ちて来る。
手の上に目を遣って、慌てて顔を上げると、見たことない男の人が私に向かって、シーッと人差し指を立てた。
素直に唇を結ぶ私に軽く微笑みかけて、その人は給湯室のドア枠に手を掛けて中を覗き込んだ。
「あ、田中さんいたいた。あのさ、至急で頭取印欲しい書類があるんだけど」
「わっ、なんだ清水君! びっくりしたあ」
私からは完全に影になっていて、その上半身が見えない。
どうやら中の女性とこの清水さんという人は、それなりに親しい間柄らしい。
突然の彼の乱入に、中の噂話も終わる。
元々大声で出来る話題じゃなかったからか、後を引かずにピタッと終わった。
「何? 営業第一部の男が直々に書類持って来たの? 事務の子使えばいいのに」
「俺の手が空いたところだから、自分で来てみた。
いや~、営業とは畑違いの管理部門っていうのは、廊下でも雰囲気違うね」
え、営業第一部ってっ……!
ギョッとして清水さんの背中だけを見遣ってから、手元の書類に視線を落とした。
うわ、本当だ。営業第一部って書いてある。
『清水』って印鑑の形から見ると、多分役付者。
ということは響さんとは同期か、それより年次が上の人ってことになる。
どうしよう。
こんなところで響さんの上司(?)に会ってしまうなんて。
「ほら、いつまでもサボってないで、さっさと仕事の対応しろって」
顔が見えないからわからないけど、声が少し厳しくなったのは感じられる。
給湯室の中の、多分総務部の女性達が、は~いと呟くのが聞こえた。
手の上に目を遣って、慌てて顔を上げると、見たことない男の人が私に向かって、シーッと人差し指を立てた。
素直に唇を結ぶ私に軽く微笑みかけて、その人は給湯室のドア枠に手を掛けて中を覗き込んだ。
「あ、田中さんいたいた。あのさ、至急で頭取印欲しい書類があるんだけど」
「わっ、なんだ清水君! びっくりしたあ」
私からは完全に影になっていて、その上半身が見えない。
どうやら中の女性とこの清水さんという人は、それなりに親しい間柄らしい。
突然の彼の乱入に、中の噂話も終わる。
元々大声で出来る話題じゃなかったからか、後を引かずにピタッと終わった。
「何? 営業第一部の男が直々に書類持って来たの? 事務の子使えばいいのに」
「俺の手が空いたところだから、自分で来てみた。
いや~、営業とは畑違いの管理部門っていうのは、廊下でも雰囲気違うね」
え、営業第一部ってっ……!
ギョッとして清水さんの背中だけを見遣ってから、手元の書類に視線を落とした。
うわ、本当だ。営業第一部って書いてある。
『清水』って印鑑の形から見ると、多分役付者。
ということは響さんとは同期か、それより年次が上の人ってことになる。
どうしよう。
こんなところで響さんの上司(?)に会ってしまうなんて。
「ほら、いつまでもサボってないで、さっさと仕事の対応しろって」
顔が見えないからわからないけど、声が少し厳しくなったのは感じられる。
給湯室の中の、多分総務部の女性達が、は~いと呟くのが聞こえた。