ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
出て来る気配が感じられて、私は慌てて廊下に背中を向けて壁とお見合いした。
中にいた二人はすぐ傍のドアからオフィスに入って行って、清水さんの背中の影にいた私に気付くことはなかった。
バタンとドアが閉まる音がして、私はようやく肩を下げてホッとした。
「さて、っと……」
清水さんがゆっくり私を振り返る。
それを見て別の意味で緊張して、私は書類を胸に抱えたままピンと背筋を伸ばした。
「あのっ。ありがとうございましたっ!」
サッと頭を下げてから、初めてまともに顔を見上げた。
清水さんは口元に拳を当てて、面白そうに私を見下ろしている。
「沢木さんとは話すの初めてだね。俺、倉西とは同期で同僚なんだ。これでも一応、結婚式出席したんだけどな」
「はっ……、す、すみません! その節はありがとうございました!」
結婚式から出席してくれた人なら、どこかで絶対会ってるはず。
なのに覚えてもいない自分に焦った。
「そんなに慌てなくていいよ。って言うか、奥様なんだから、定番の挨拶して欲しいなあ」
さっきと同じポーズで、どこか意地悪な空気を笑みに含ませた。
そんな清水さんに、私は素で、は?と首を傾げる。
「『うちの主人がいつもお世話になってます』って」
「そっ……」
ニヤニヤしながら向けられた言葉に、一瞬絶句した。
中にいた二人はすぐ傍のドアからオフィスに入って行って、清水さんの背中の影にいた私に気付くことはなかった。
バタンとドアが閉まる音がして、私はようやく肩を下げてホッとした。
「さて、っと……」
清水さんがゆっくり私を振り返る。
それを見て別の意味で緊張して、私は書類を胸に抱えたままピンと背筋を伸ばした。
「あのっ。ありがとうございましたっ!」
サッと頭を下げてから、初めてまともに顔を見上げた。
清水さんは口元に拳を当てて、面白そうに私を見下ろしている。
「沢木さんとは話すの初めてだね。俺、倉西とは同期で同僚なんだ。これでも一応、結婚式出席したんだけどな」
「はっ……、す、すみません! その節はありがとうございました!」
結婚式から出席してくれた人なら、どこかで絶対会ってるはず。
なのに覚えてもいない自分に焦った。
「そんなに慌てなくていいよ。って言うか、奥様なんだから、定番の挨拶して欲しいなあ」
さっきと同じポーズで、どこか意地悪な空気を笑みに含ませた。
そんな清水さんに、私は素で、は?と首を傾げる。
「『うちの主人がいつもお世話になってます』って」
「そっ……」
ニヤニヤしながら向けられた言葉に、一瞬絶句した。